2017年4月18日火曜日

「先の先」の弱点

相手の攻撃する気を察して,先んじて攻撃して勝利を得る「先の先」にも弱点がある.それは社会的に見ると,「先に手を出した」とみなされることである.それが「仕方ない」と判断されればまだいいが,「先手必勝」とばかりに襲いかかったなどと証言されれば,社会的にはかなり問題となってしまう.これが「先の先」が生じる問題である.もちろん,「後の先」を狙ってはみたものの,相手の先制攻撃をかわしきれず,それで一命を落としてしまえば,元も子もないのだけれど.

このように,現代ではケンカなどするとその場での勝負の他に,社会的な制裁が課せられることになる.実は江戸時代でも,武士が刀など抜こうものならばそれだけで事件になってしまい,武士は罰せられたのだという.だから一心太助などが「抜きたいなら抜きやがれ!」と啖呵をきることができたわけだ.

すなわちケンカをする場合には,目の前の相手の他にのちの社会の制裁まで考えなければならない.その覚悟がなければケンカなどしてはならないのである.

「手を出すときは,心に情けを残すな.
   心に情けが残っているときは,手を出すな」

とは,漫画「拳児」に出てきた八極拳士の言葉である.それでも戦わなければならないときには,相手を燃やし尽くさなければならない.二度と立ち上がれないまでに.肉体的にも社会的にも.


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